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更新日:令和7(2025)年6月9日

ページ番号:770882

逐条解説(HTML版)(基本理念)第2条

このHTML版は読み上げ対応のためPDF版とレイアウトや一部の文章が異なります。

多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成は、人々が様々な違いを尊重しながら、互いに関わり合い、影響を及ぼし合うことが、社会の活力及び創造性の向上に相乗的に効果を発揮するという認識の下に、次の各号に掲げる社会の実現を目指して行われることを基本理念とする。

一 年齢にかかわらず、誰もが、希望や意欲に応じて、就業、学び、地域における活動その他の様々な活動を行い、生涯にわたって、生きがいを持って活躍している社会

二 男女のいずれもが、性別を理由とする不利益を受けることなく、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画し、共に活躍している社会

三 障害のある人もない人も、誰もが、互いの立場を尊重し合い、支え合いながら、安心して暮らし、個性と能力を発揮して活躍している社会

四 国籍及び文化的背景、性的指向及び性自認その他の様々な違いにかかわらず、全ての県民及び事業者がこれを理解し、尊重し合うことで、誰もがその人らしく活躍している社会

1趣旨

(1)柱書

本条柱書は、多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成をどのような認識の下で各号に掲げる社会の実現を目指すのかという、本条例の基本理念を述べたものである。

多様性を尊重することは、人々の人権が尊重され個性や能力を発揮できる環境づくりにつながるものであることに加えて、社会の活力や創造性の向上に相乗的に効果を発揮するものであるという認識の下で、各号に掲げる誰もがその人らしく活躍している社会を目指すことを述べている。

(2)各号

ア 人々の間にある様々な違いごとに、具体的に目指す社会の姿を述べている。このことにより、県の施策の方向性を明らかにするとともに、県が実現を目指す多様性が尊重され誰もが活躍できる社会について、認識を共有するための一助にしようとするものである。

イ 様々な違いのうち、前文に列挙した「年齢、性別、障害の有無」について、第1号~第3号で具体的に目指す社会の姿を述べるとともに、これら以外の様々な 違いについても、第4号「その他の様々な違いにかかわらず」と規定し、それらが尊重され誰もがその人らしく活躍できる社会の姿を述べている。なお、「国籍及び文化的背景、性的指向及び性自認」は、「その他の様々な違い」の例示として挙げたものである。

2解説

(1)柱書

「人々が様々な違いを尊重しながら、互いに関わり合い、影響を及ぼし合う」とは、多様性が尊重され誰もが活躍できる社会における人々のあり方を述べたものであり、「社会の活力及び創造性の向上に相乗的に効果を発揮する」とは、これにより社会へ波及する効果について述べたものである。

〇「人々が様々な違いを尊重」

人々の間には様々な違いがあることを認識し理解した上で、その違いによって他者を否定せず、対等な立場で互いに認め合うことを表している。なお、人々は県民だけではなく千葉県を訪れた者も含むため「県民」とはしていない。

〇「互いに関わり合い」

人々が対話等のコミュニケーションを通して、互いに関係し、連携・協力することを述べている。例えば、職場の同僚として働くことや、地域において自治会活動を共にすること、学びやボランティア活動を共に行うことなどが挙げられる。

〇「影響を及ぼし合う」

互いを尊重した上での前述のような関わり合いを通して、自分とは「違い」がある者とのコミュニケーションにより、新たな気づきを得たり、考えが深まったり、対話を通じて新たなアイデア・発想が生まれたりすることについて述べている。

「社会の活力(の向上)」

人口減少などで社会環境が変化している中においても、互いを尊重し、周囲の理解を得られやすくなることで、それまでよりも多くの人が活動に参加したり、またある人が幅広い分野の活動に参加したりするようになるなど、活動が活発化することを表している。

なお、ここで活発化する活動は、経済活動、文化活動、ボランティア活動など、あらゆる活動を指している。

〇「(社会の)創造性の向上」

人々が互いに関わり合い影響を及ぼし合うことで、これまでにないアイデアや革新的な取組、個人ではなし得なかった結果に結びつくことが期待できることを表している。

〇「相乗的に効果を発揮」

特性の異なるグループが個々に活動を行った場合に、それぞれ1ずつの成果を 出したとすると社会全体の成果は2となるが、両者が合わさって一つのグループとして活動を行った場合に、刺激し合うことで活動量が増加することや、新たな気づきや視点、アイデアが生まれて、これまでにない成果が生み出されることにより、社会全体にもたらされる成果は2ではなく、3にも4にもなるという考え方を表している。

(2) 各号

第1号について

多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成のためには、年齢にかかわらず、誰もが活躍できる社会の実現が必要であり、本号では、これを目指す社会の一つとして規定している。

これは、高齢者のみならずすべての年代が生涯にわたって、役割や生きがいを持って暮らすことができる「生涯現役社会」の実現を目指すとともに、年齢にかかわらず、一人ひとりの希望や意欲に応じた、画一的でない多様な働き方や学び直しなどを実現できる社会を形成していく趣旨である。

〇「年齢にかかわらず」

子どもを含む、全ての年代の人を指している。

〇「誰もが、希望や意欲に応じて」

「活動」には多様な形態があり、どのような形態の活動を行うかについては、 個人の主体的な選択によるものであることを述べている。

〇「就業」

企業等での就労のほか、兼業・副業、自営業や、在宅ワーク、ワーケーションなど、様々な就業方法や働き方を含むものである。

〇「学び」

学校等での学習だけではなく、あらゆる機会に、あらゆる場所で行われる 学習を指しており、社会人の学び直しや、生涯学習なども含むものである。

〇「地域における活動」

自治会活動や、ボランティア活動などを指している。

〇「その他の様々な活動」

上記に含まれない活動を指し、家事も含まれる。

〇「生涯にわたって、生きがいを持って活躍している」

個人の年齢は時の経過により変わるものであるが、いくつであっても生きがいを持って社会の中で活躍していること、また人生を「教育、仕事、老後」という単線型で設計するのではなく、いずれの年代・人生ステージにおいても、様々な働き方、学び方、生き方を選び、固定観念にとらわれることなく希望や意欲に応じて活躍していることを述べている。

第2号について

多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成のためには、男女のいずれもが活躍できる社会の実現が必要であり、本号では、これを目指す社会の一つとして規定している。

これは、男女共同参画社会基本法の目的や基本理念を踏まえたものであり、豊かで活力のある社会を築いていくため、男女が互いにその人権を尊重しつつ、ともに喜びも責任も分かち合い、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮し、一人ひとりが活躍できる「男女共同参画社会」の実現を目指すこととしている「第5次千葉県男女共同参画計画」と同様の趣旨である。

〇「男女のいずれもが」

男性のみ、女性のみではなく、男女のいずれもが、参画し、共に活躍できる社会の実現を目指すこと述べている。

〇「性別を理由とする不利益を受けることなく」

男性、女性、いずれの性も、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に捕らわれること等により、男女という性別によって自分自身や他者の自由な選択を阻害することなく、個人の能力に応じて等しく参画の機会が確保されることを述べている。

〇「社会の対等な構成員として」(※)

男女双方とも本質的に社会の責任ある構成員であり、男女が権利、義務の対等な関係をもっているということを示している。(※)

〇「自らの意思によって」(※)

「活動に参画する」のは「自らの意思によって」という主体的な選択によるものであり、強要、強制されるものではないことを述べたものである。

〇「社会のあらゆる分野」(※)

職域、学校、地域、家庭などのあらゆる分野のことであり、専業主婦の家事等も含まれる。

〇「参画」(※)

単なる参加ではなく、より積極的に意思決定過程へ加わるという意味である。

〇「活動に参画し、共に活躍している」

男女という性別によって、社会のあらゆる分野における活動の範囲、内容に違いが生じることなく、男女が社会の対等な構成員として、共に、希望や意欲に応じて活躍していることである。

(※)男女共同参画社会基本法第2条と同様の意味で使用しているもの

第3号について

多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成のためには、障害の有無に かかわらず、誰もが活躍できる社会の実現が必要であり、本号では、これを目指す社会の一つとして規定している。

「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」では、前文において、「障害のある人もない人も、誰もが、お互いの立場を尊重し合い、支え合いながら、安心して暮らすことのできる社会こそ、私たちが目指すべき地域社会である」と定めており、本県の障害者施策において、恒久的に目指す社会像であるため、本号においても内容を踏襲している。

なお、同条例は、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすための取組について定めたものであるのに対し、本条例は、障害のある人を含むあらゆる人々が差別を受けることがないことを前提として、多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成について定めたものである。

〇「互いの立場を尊重し合い、支え合いながら、安心して暮らし」

一人ひとりが、他者の様々な状況や状態を受け入れ、認め合い、障害のある人もない人も、共に支え合う存在として、誰もがその人らしく地域で暮らすことを表している。

〇「個性と能力を発揮して活躍している」

就労に限らず、地域における活動のほか、スポーツ、文化芸術活動など、あらゆる分野において、本人の希望や意欲に応じて、それぞれの特性や持っている力を生かした活動を指している。

第4号について

多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成のためには、第1号~3号で規定したもの以外の違いについても、その違いにかかわらず、誰もが活躍できる社会を実現する必要があるため、本号では、「その他の様々な違い」として、目指す社会の姿を規定している。

なお、本号では、前文で掲げた「国籍及び文化的背景」、「性的指向及び性自認」を「その他の様々な違い」の具体例として挙げている。

※「国籍及び文化的背景」に関しては、日本語以外の多様な言語、文化、習慣等を有する人々は、日本語によるコミュニケーション力や社会制度に関する知識の不足等によって、地域社会の中で孤立したり、日常生活に困難を抱えたりすることがあり、今後も成田国際空港の更なる機能強化や道路ネットワークの整備進展などを控える本県では、日本国籍以外の人や日本以外に文化的ルーツを持つ人等の増加が見込まれることから、こうした人々が安心して暮らし働き、活躍できる環境づくりが求められている。

また、「性的指向及び性自認」に関しては、不快な発言や暴力行為等により不安や苦しみなどを感じた経験のある方が存在しており、こうした方の生きづらさを解消し、自分らしく安心して暮らし、活躍することができる環境づくりが求められている。

〇「国籍」

「文化的背景」と併せ、国籍の違いや、同じ国籍でも異なる国にルーツがある人々の間にある違いについて表している。なお、「国籍」の文言は、出入国管理及び難民認定法の第2条第2号の「外国人」の定義である「日本の国籍を有しない者」によるものである。

〇「文化的背景」

同じ国籍(例えば日本国籍)であっても、異なる国にルーツがある人との間にある違いについて、国籍に併せて規定したものである。

例えば教育現場において、日本国籍ではあるが国際結婚の家庭で育っているため、日本語の指導が必要な児童生徒へ指導する際の視点として、「文化的背景」を踏まえる場合などが想定される。

なお、国籍の意味を補完するという関係性を示すため、「国籍及び」の後につなげている。

〇「性的指向及び性自認」

「性的指向」については、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律第2条第1項の定義(「恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向」)と同義である。

「性自認」は、同法第2条第2項に規定する「ジェンダーアイデンティティ」(「自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識」)の日本語訳であり同義であるが、他県の条例でも使われるなど定着した表現であり、また千葉県は既に総合計画等で「性自認」の語を使っていることから、本条例では「性自認」としたものである。

「性的指向」と「性自認」は別の概念ではあるが、どちらも性のあり方の一側面であるという点では同じであることから、両者を「及び」で並列して用いることとしている。

〇「その他の様々な違い」

第1号~第3号に記載した違い以外にも、一人ひとりに存在する(本条例制定後に顕在化するものや、新たに発生するものを含む)違いを述べている。

〇「全ての県民及び事業者がこれを理解し、尊重し合うことで、誰もがその人らしく活躍している」

誰もが、その人らしく生き、暮らし、活躍するためには、まずは県民や事業者が人々の間にある様々な違いを理解したうえで、互いを尊重することが重要であるという、多様性が尊重され誰もが活躍できる社会が目指す普遍的な姿を述べたものである。

<参考>「性別」と「性的指向及び性自認」

本条は、第2号に男女共同参画社会(男女のいずれもが活躍できる社会)の実現について規定し、第4号に性的指向及び性自認を、様々な違いの一つとして規定している。

なお、国の「第5次男女共同参画基本計画」では、「男女共同参画社会の実現に向けて取組を進めることは、「男女」にとどまらず、年齢も、国籍も、性的指向・性自認(性同一性)に関すること等も含め、幅広く多様な人々を包摂し、全ての人が幸福を感じられる、インクルーシブな社会の実現にもつながるものである。」としており、性的指向及び性自認を年齢や国籍と同じく、男女以外の違いの一つとして挙げており、これは千葉県の男女共同参画計画においても同様である。

お問い合わせ

所属課室:総合企画部多様性社会推進課企画調整室

電話番号:043-223-2367

ファックス番号:043-222-0904

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