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更新日:令和6(2024)年5月1日
ページ番号:4643
千葉県感染症情報センターとは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」による施策として位置づけられた感染症発生動向調査により得られた情報を集計・分析するとともに、情報提供・開示するため、千葉県衛生研究所に設置されています。
週報/月報/新型コロナウイルス感染症/梅毒/腸管出血性大腸菌感染症/インフルエンザ/感染性胃腸炎/麻しん/風しん/リンク
2024年第17週(2024年4月22日~2024年4月28日)(PDF:861.8KB)
2024年4月22日から2024年4月28日までの期間(2024年第17週)の千葉県結核・感染症週報を掲載しています。
※過去の注目疾患:2015年、2016年、2017年、2018年、2019年、2020年、2021年、2022年、2023年、2024年
※過去の週報:2012年~2016年週報、2017年週報、2018年週報、2019年週報、2020年週報、2021年週報、2022年週報、
2024年第17週に県内医療機関から本年初となる腸チフスの届出が1例あった。国外での感染が推定されていた。
2015年第1週から2024年第17週までに県内医療機関から届出のあった腸チフス症例は合計18例であった(図)。18例のうち、性別では男性が10例(56%)、女性が8例(44%)であった。年齢群別では10歳未満から60代までの届出があり、20代が5例(28%)で最も多く、次いで10歳未満、10代及び40代が各3例(各17%)であった。18例の推定される感染地域は、15例(83%)が国外であり、南アジア地域や東南アジア地域が多く挙げられていた。
2018年から2023年9月までの全国における輸入腸チフス症例の動向については、2018年33例、2019年28例、2020年17例、2021年3例、2022年12例と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行開始以降は届出数が減少したが、昨年2023年は1月から9月までに25例の輸入症例の届出があり、9か月で2020年~2022年の各年の年間届出数を上回った。2022年10月から2023年9月までの1年間の輸入症例29例における推定感染地域として多かったのは、バングラデシュ(8例)、ミャンマー(6例)、パキスタン(4例)、インドネシア及びネパール(各3例)であり、アジア地域が多く挙げられていた1)。一部の国や地域では広範囲に薬剤耐性を有する腸チフス症例の発生も報告されており2,3)、今後の輸入症例の発生動向には注意する必要がある。
腸チフスは腸内細菌科サルモネラ属に属するチフス菌(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi)による全身性感染症であり、一般のサルモネラ感染症とは区別される。南アジア、東南アジアでの罹患率が高く、また中南米、アフリカでも発生がみられる。日本における発生は散発的であり、その多くは流行地域への渡航者による輸入事例である3)。
臨床症状は通常、7~14日間(報告によっては3~60日間)程度の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、全身倦怠感、高熱、比較的徐脈、バラ疹、脾腫などの症状を呈する3)。患者の15~20%で再燃することがある。胆のうへの感染が持続し無症状病原体保有者となる症例は約2~5%であるとされる4)。
チフス菌は宿主特異性があり、感染源はヒトに限定されている。ごく少量の菌数で感染することがあり、多くの場合、ヒトの糞便や尿で汚染された食物や水が当該疾患を媒介するため、衛生環境の改善が感染リスクの減少につながる。国内で承認されたワクチンはないため、予防のためには、汚染されている可能性のある食べ物や水(生水、氷、生肉、生野菜、カットフルーツなど)に注意し、十分に加熱された飲食物を摂取することや、手洗いの励行等が重要となる3,5)。
厚生労働省は、自治体に対して通知を発出し、細菌性赤痢、コレラ、腸チフス及びパラチフスについて、感染症及び食中毒事例において患者便等から病原菌が分離された場合、国立感染症研究所に菌株を送付するよう求めている6)。
※ 医療機関の皆様におかれましては、保健所から検体分与の依頼があった場合にはご協力をお願いします。
■参考・引用
1)国立感染症研究所:日本の輸入感染症例の動向について(2024年2月20日更新版)
2)CDC:Extensively Drug-Resistant Typhoid Fever in Pakistan
4)IDWR 2014年第38号<注目すべき感染症> 腸チフスー国外渡航歴のない感染者の増加(2014年第34週以降)
2024年第17週に県内医療機関から本年初となる侵襲性髄膜炎菌感染症の届出が1例あった。全国における発生状況については、2024年第16週までに13例の届出がある1)。
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)はグラム陰性の双球菌で、健康なヒトの鼻咽頭からも低頻度ながら分離され、保菌者・患者から飛沫感染で伝播する。侵襲性感染症としては、菌血症(敗血症なし)、髄膜炎を伴わない敗血症、髄膜炎、髄膜脳炎の4つの病型がある。敗血症を発症すると予後が悪い。急性劇症型として副腎出血や全身のショック状態を呈するWaterhouse-Friderichsen症候群がある。非侵襲性感染症としては、肺炎・尿道炎など多彩な病像がある。潜伏期間は2~10日(平均4日)で発症は突発的である2)。
全国で2013年4月1日から2023年3月31日までに診断され届出があった274例のうち、推定感染地域が国内であった症例は257例(都道府県不明を含む)であり、国外であった症例は6例のみと報告されている3)。侵襲性髄膜炎菌感染症のリスク因子は、多くの人が集うイベント、学生寮など共同生活を行っている場などとされており、国内でも感染事例が報告されている2)。
診断した医師は直ちに保健所へ届出を行うこととされている。当該疾患の感染拡大防止策として、濃厚接触者に対しては可能な限り早期に抗菌薬による曝露後の予防投与が推奨されている2)。
■参考・引用
1)国立感染症研究所:IDWR速報データ 2024年第16週
2)国立感染症研究所:侵襲性髄膜炎菌感染症 2013年4月~2017年10月
3)国立感染症研究所:感染症法に基づく侵襲性髄膜炎菌感染症の届出状況、2013年4月~2023年3月
【Topics】
≪ゴールデンウィークに海外へ渡航される皆様へ≫
海外においては、国内では見られない感染症が流行していることがあり、海外滞在中に感染する可能性があります。海外へ渡航する際には、事前に渡航先における感染症の流行状況、現地滞在中の注意点、海外渡航に際し推奨されている予防接種をご確認ください。
また、感染症には、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が数日から1週間以上と長いものもあり、渡航中や帰国直後に症状がなくても、しばらくしてから具合が悪くなる場合があります。その場合は、医療機関に事前に電話連絡して海外渡航歴があることを伝えた上で受診し、渡航先、滞在期間、現地での飲食状況、渡航先での活動内容、動物との接触の有無、ワクチン接種歴等についてお伝えください1)。
〇食べ物や水を介した消化器系の感染(A型肝炎、腸チフス、細菌性赤痢、コレラなど)
食事は十分に火の通った信頼できるものを食べるようにし、生水・氷・カットフルーツの入ったものを食べることは避けましょう。手洗い等の手指衛生をこまめに行ってください。
また、A型肝炎については国内で承認済みのワクチン接種で予防することができます。
〇蚊を介した感染症(マラリア、デング熱、日本脳炎、黄熱、ジカウイルス感染症など)
蚊が生息する熱帯・亜熱帯地域などでは、できるだけ肌を露出せず、虫除け剤を使用するなど、蚊に刺されないよう注意してください。
〇ダニを介した感染症(リケッチア症、ライム病、回帰熱、ダニ媒介脳炎、重症熱性血小板減少症候群(SFTS))
ダニが生息する地域で、草むら、ヤブなどに入る場合は、肌の露出を少なくし、虫除け剤も必要に応じて使用してください。
◯動物を介した感染症(狂犬病、鳥インフルエンザ、中東呼吸器症候群(MERS)など)
動物は重篤な感染症の原因となる病原体を持っている可能性がありますので、むやみに動物に近づかない、動物に触れないことが大切です。動物に触れた場合、手洗い等の手指衛生を行ってください。
〇人から人に広がる感染力の強い感染症(麻しん、風しんなど)
咳や発熱、発疹など、なんらかの症状がある方との濃厚な接触は避けるようにしましょう1,2)。
その他詳細は下記をご参照ください。
■参考・引用
2)【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.510(2024年4月15日)
RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、ヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎の5週間分の保健所別の定点当たり報告数のグラフを掲載しています。
2024年3月の千葉県結核・感染症月報(2024年14週週報)を掲載しています。
2024年17週の県全体の定点当たり報告数は、前週(3.99)から減少し、3.61であった。
2024年17週までの県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況について掲載しています。過去の発生状況については以下に掲載しています。
県衛生研究所は、国立感染症研究所と協働で、県健康福祉センター(保健所)(千葉市・船橋市・柏市除く)等から収集した検体について新型コロナウイルスのゲノム解析を行い、ウイルスの変異状況を調べています。
その状況についてお知らせします。
保健所への報告は、報告様式1(小児科定点・インフルエンザ/COVID-19定点用)又は報告様式2(インフルエンザ/COVID-19定点用)をお使いください。なお、集計様式2は、保健所への送付は不要です。
オンライン報告を希望される場合、ちば電子申請サービスから手続きをお願いします(県庁疾病対策課ホームページへ)
千葉県では2024年17週に7例届出があり、累計は142例となった。
昨年2023年は1999年の現行感染症サーベイランス開始以降最多となる472例の届出があり、注意が必要です。
2024年17週までの県内の梅毒発生状況について掲載しています。2021年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。
千葉県では2024年17週に届出はなく、2024年の累計は10例となった。
2024年17週までの県内の腸管出血性大腸菌感染症発生状況について掲載しています。2010年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2023年1~52週)(PDF:381.4KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2022年1~52週)(PDF:249.1KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2021年1~52週)(PDF:270.2KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2020年1~53週)(PDF:250.6KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2019年1~52週)(PDF:240KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2018年1~52週)(PDF:242KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2017年1~52週)(PDF:254KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2016年1~52週)(PDF:145KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2015年1~53週)(PDF:233KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2010年~2014年)(PDF:224KB)
- 全国の発生状況(国立感染症研究所)
2024年17週の県全体の定点当たり報告数は、前週(2.25*)から減少し、1.33であった。
*前週報告時点では2.24人
2023/24シーズンの県内のインフルエンザ発生状況について掲載しています。2015/16シーズンから2022/23シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。
※県内の迅速診断の結果がとりまとめられています。
2024年17週の県全体の定点当たり報告数は、前週(4.21)から増加し、4.78となった。
2023/24シーズンの県内の感染性胃腸炎の発生状況について掲載しています。2016/17シーズンから2022/23シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。
千葉県では、2024年17週に届出はなかった(2024年5月1日現在)。2024年の累計は0例である。
2024年17週までの県内の麻しんの発生状況について掲載しています。2008年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。
国内で麻しん(はしか)の感染事例が報告されています。麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんの罹患歴がなく、2回の予防接種歴が明らかでない場合は予防接種をご検討ください。
また、発疹、発熱などの麻しんのような症状がある場合は、麻しんの疑いがあることを事前にかかりつけ医または医療機関に電話等で伝え、受診の要否や注意点を確認してください。医療機関へ移動される際は周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関の利用は可能な限り避けてください。詳細については、下記ホームページをご参照ください。
千葉県では、2024年17週に届出はなかった(2024年5月1日現在)。2024年の累計は0例である。
2024年17週までの県内の風しんの発生状況について掲載しています。2008年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。
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